ニンテンドースイッチは社会に受け入れられるゲーム機となるか?

 3月3日に発売となるニンテンドースイッチ、その魅力は2つのジョイコンを使った新しい遊びです。そして、その遊びを外に持ち運ぶことができるという、これまでにないコンセプトのゲーム機となっています。

 据え置きだけど持ち運べる、って、もはや据え置き機と携帯機ってどういう切り分けなのかわかりませんが(従来は画面がついててスタンドアロンで遊べるのが携帯機だったと思っていましたが…)、携帯ゲーム機が弱い海外で売るためにもハイエンドなゲーム機である、ということを前面に押し出していると感じました。PS4などに比べるとグラフィック性能やCPU性能は劣りますが、個人的にはかなり高い性能を詰め込んでいるなぁ、と思っています。

 従来据え置き機に不要だった液晶画面とバッテリーをわざわざ搭載することで、コストも上がるし、普通に考えれば茨の道を行く選択と思うのですが、敢えてそうしたのには、「TVを使わず家のどこでも遊べる」というWii Uで提案したメリットに加えて、「スイッチを持ち寄り遊ぶ」提案をしたかったのでしょう。

 ハイエンドなゲームをみんなで集まって遊ぶのは、日本ではほとんど聞かれませんが、「LANパーティ」というイベントに近いです。各々がデスクトップPCを会場に持ちより、LANで繋いでFPSなどを遊ぶゲーム大会でDoomQuakeの時代から行われていました(当時はネット回線が弱かったですからね)。それを手軽に楽しめるようにした感じでしょう。みんながPS4を持ち寄ることも不可能ではないですが、スイッチの方が圧倒的に手軽ですよね。CoDやBFみたいなタイトルが出てくれば、スイッチパーティみたいなイベントが行われたりしそうです。

 もちろん、SkypeやLINE通話しながらオンラインで遊ぶことも出来ますが、持ち寄って遊べば、お互いに顔も見える盛り上がりそうです。おなじみ「マリオカート」の最新作(4/28発売)、スイッチならではの体験をもたらす対戦格闘スポーツゲームの「ARMS」(春発売)と複数人で遊べるゲームが続きますし、「ストII」「ボンバーマン」の新作も出るし、日本における大本命「スプラトゥーン2」も夏に発売されます。これから夏にかけ、スイッチを持ち寄り楽しむ姿を各所で見かけることになりそうです。

 

■どんな場所で遊ばれるのか?

 従来、家の外で据え置きゲーム機を遊ぶことはできませんでした。一部、据え置き機やソフトがおいてあるゲームバーというのがありましたが、ゲームソフトは著作権法で「映画の著作物」として取り扱われ、「上映権」が認められているので、この営業形態はアウトです(ソフトを持ち込めばOK、本体だけなら良いなど諸説あります)。でも、自分でハードとソフトを持ち込めば問題ありません。スイッチドックとモニターを常設・開放するゲームバーはおそらく問題なく営業できます。もしそんなお店があったらスイッチユーザーのたまり場になりますよね。もしかすると任天堂は、スイッチドックをカラオケ屋とかゲームバー、ネットカフェなんかに降ろしたりするんじゃないでしょうか。

 これ、個人的な希望も多分に含みますが、先のゲームバー、スプラトゥーンが大盛り上がりしていた時にかなりお客を集めたようで、スプラ2やそれに続く対戦のアツいゲームが複数リリースされれば、ちょっとした社会現象になるのでは?なんて思います。

 あと、年々減りつつあるゲームセンターの復権もワンチャンあると思っています。最近のTVゲーム筐体は「汎用化」されていて、ネットを通じてゲームソフトが配信されています。この汎用筐体にドックが付いたら…。スイッチをセットすれば店内で遊べる、なんて取り組みも、もしかしたらあるのかな、あったら良いな、なんて思っています(筐体の時間貸しみたいな料金体系ですね)。スイッチは対戦型ゲームが多いし、店員さんによる実況もあったりしたら、連日ゲーム大会イベントで盛り上がりそうです。

 

 さて、変化球・予想から書きましたが、普通に考えれば職場や学校、マクドナルドみたいな場所での盛り上がりがまず最初に起こりそうです。これまでも、3DSやVitaなどで遊んでいる人がたくさんいました。ここにハイエンドなゲームが登場するわけです。ARMS辺りは新しい体験にも関わらず、瞬間的に遊び方が伝わりますしストIIボンバーマンなんかはもともと知ってる人も多そうです。そんなゲームの画面をみんなが覗き込んでいたら、周りの人も巻き込んで盛り上がりそうです。プレイ画面を動画サイトに配信する機能も将来予定されているそうですが、動画サイトは興味のある人しか見ませんからね。

 ただ、公共の場ですから「うっとおしいな」と思う人も出てきそうです。店舗、地域、自治体ごと、今後、いろんなルールが生まれるんでしょうね。任天堂は、もともと家庭で嫌われないゲーム機を心がけていました。今後は、パブリックな場所…社会にどれだけ嫌われない仕組みを作っていくかが鍵を握っていると思います。

 

 手軽に持ち運べることで、どこでもゲーム空間に変えることのできるスイッチ。ソフトはどんどん出てくると思いますが、それ以上に、任天堂が普及のため、どういった手を打ってくるかが楽しみです。