ニンテンドースイッチはコミュニティの中心となるハードではないか?
2016年10月20日、 PSVRで盛り上がってる最中、突如「ニンテンドースイッチ」が発表されましたね。
発表内容について、賛否あると思うのですが、きっと今回発表されたのは概要だけで、じつはまだ、世間が「おおっ!」となる、コンセプト・仕様は明かされていないのではないかな、と睨んでいます。
任天堂がスマートデバイスでゲームビジネスを展開することにしたのは、ゲーム専用機ビジネスに対する情熱や展望を失ったからではありません。むしろ、どうやってスマートデバイスを活用するか決めたことで、今まで以上にこれからのゲーム専用機ビジネスへの展望や情熱を持っています。ゲーム専用機で展開されている素晴らしい価値のあるゲームソフトについて、世界中のより多くのお客様に対して、認知してもらうきっかけを作るためにスマートデバイスを活用するこのアプローチが合理的だと考え、決断しました。ちなみに任天堂がゲーム専門機ビジネスに対する情熱を持ち続けていることの1つの証明として、今のビジネス環境に適合するために任天堂は全く新しいコンセプトのゲーム専用機プラットフォーム、開発コード「NX」として現在開発中です。今は具体的なことをお話する段階ではありませんが、詳細は来年にお話できると思います。スマートデバイスは最も間口が広く、多くのお客様とつながる可能性が高いデバイスと言えます。そこで、お客様をゲーム専用機にいざなうことができるよう、スマートデバイスとゲーム専用機の間に、架け橋をかけていきたいと考えています。
そしてスマートデバイスを通じて任天堂とつながり、任天堂IPに興味を持ってもらったお客様にはよりプレミアムなゲームプレイ体験を、任天堂ゲーム専用機を介して提供したいと思います。
2015年3月17日【全文】任天堂とディー・エヌ・エー(DeNA)、 業務・資本提携に関する共同記者発表会 - ログミー
故・岩田前社長はこう仰ってました。10月20日に発表されたスイッチの映像は、あくまで情報感度の高いゲーマー層に対するラブコールで、真のコンセプトはまだ隠していると思うのです。スイッチの発表では、先の引用の
むしろ、どうやってスマートデバイスを活用するか決めたことで、今まで以上にこれからのゲーム専用機ビジネスへの展望や情熱を持っています。
スマートデバイスとゲーム専用機の間に、架け橋をかけていきたいと考えています。
これらの部分について、まったく触れられていません。何らかのカタチでスマホ連動することは確実と思います。
高性能なゲーム機を外に持ち運べるといっても、もうゲームはスマホで十分って思ってる人は相当多いと思うんです。
周りを見れば、ポケモンGO(これは直接任天堂のIPではなく、株式会社ポケモンのIPで、開発・販売はNianticですが、関連を持てるという意味で)は相当広がっていて、学校や職場の友達や同僚で遊んでる人も多いですよね(まぁ、都心部中心かもですが)。
いまのままでも楽しいし、コミュニケーションも十分成立しているけれど、そこにスイッチを付け加えることで任天堂は何を考えているのか。「タブレットになって、Android OSを積み、既存のゲームを遊べるようにするのでは?」なんて予想を見かけましたが違うと思っています。
任天堂のビジネスは「ハード・ソフト一体型のビジネス」という説明が岩田からありましたが、言い換えると、テクノロジーがエンターテインメントとうまく結び付いて、ゲーム機を作り出すことだと思います。そのような中で任天堂自体は、ハードの生の性能を前面に押し出すような会社ではないと思っています。ですから、そのテクノロジーをいかにエンターテインメントのバリューに増幅できるかということにずっと注力してきました。そういう意味ではテクノロジーはあくまでも黒子だと思っています。ですから、明らかにみなさんに分かる「アンプリファイ(増幅)」をエンターテインメントバリューとして今のところ提供できなかったというところに対しては、あまり言い訳はしたくありません。
これは、任天堂の2014年1月30日(木) 経営方針説明会の引用ですが、ここの言葉を借りると遊びのアンプリファイ、いまよりもっと面白くしてやろうということと思っています。既存のタブレット、スマホゲームが遊べます、というだけでは任天堂にとって何もアドバンテージが無い状態ですよね。そんなビジネスを任天堂がするとは思えません。
ここで思い出したのが、昔、任天堂が提案していた「コネクティビティ」と言うしかけ。ゲームキューブとゲームボーイアドバンスを4台ケーブルで繋いで高度な遊びができる、というものです。面白いゲームを作ることにかけてプライドのある任天堂は、スマホコミュニティの中央にスイッチを据えることで、より面白くしてやる!とか、考えたのではないでしょうか。
ゲームキューブ+アドバンスの遊びは、画期的で面白かったのですが、なかなかそういう環境をつくるのが難しかったんですよね(GBAを持っている友達4人で、ゲームキューブのある家に集まって遊んだ人、何人いるんだろう…)
▲こんな面倒な接続もいらない!(Wikipediaより引用)
『Nintendo Land』は、二つの画面があることを最大限に活かして、任天堂らしい遊びをリビングで楽しんでいただくという意味では、4、5人がリビングで集まれば絶対に面白いという確信を持っていますが、1人での体験はどうだったかというと非常に弱い面があります。
これも2014年1月30日(木) 経営方針説明会の引用ですが、書かれている通り、Nintendo Landは5人で遊ぶとすごく楽しいんです。でも、それを一体何人が楽しめたんだろう?という風に思います。
でも、今、スマホでポケモンGOやってる友達や同僚が3人、4人集まることは少なくはないですよね。不忍池に行けばグループでポケモンゲットしてる人がごろごろ居ます。このうち、ひとりがスイッチを持っていて、真ん中に置くことでより楽しいゲームが遊べるとしたらどうでしょう。
ポケモンGOで育てたポケモンを使い「ポッ拳」のようなスタイルで対戦プレイをしたり、みんなの「ちかくのポケモン」表示から今のポケモンの場所を推理できるマップが表示されたり、遊びを広げることができます(自分のアイデアがヘボいので、コレが楽しい提案かはさておき)。
手元のスマホは個人の画面、中央のスイッチは、全体マップとかみんなの情報が集約される、神様視点の画面、といったことも出来るでしょう。任天堂にはゲームキューブとアドバンスのときに考えたアイデアのストックが色々あると思うんですよね。
そしてスマートデバイスを通じて任天堂とつながり、任天堂IPに興味を持ってもらったお客様にはよりプレミアムなゲームプレイ体験を、任天堂ゲーム専用機を介して提供したいと思います。
スイッチの概念がウケるかどうか、じつはもう結果は見えていると思っています。「ポケモンGO Plus」という、ポケモンGOを快適に遊べる周辺機器が販売されてます。スイッチはまさにこのポジションなんだろうな、と。
2017年3月に、スマホ版「どうぶつの森」が出るそうですが、スイッチにつなぐとみんなが集まれる場所があって、マリオパーティみたいなゲームが遊べたり、スプラトゥーンのように「どうぶつ村のフェスはスイッチに繋がないと参加できない」、みたいな仕掛けもできます。
同じく3月に出る「ファイアーエムブレム」も、全体マップや、味方ユニットの情報がスイッチ側に常時出てたりしたら遊びやすいですよね。
この逆パターンもあるかもしれません。スプラトゥーンの新作が発表されましたが、マップ画面がなくなっていました。ボタンを押している間マップが表示される、みたいな方法もあるかもですが、スマホの画面にマップが出てたらどうでしょう。
ジョイコンでスマホを挟むようなコントローラーであればタッチインターフェースがあるのでスパジャンもバッチリです(いちいちセットするのが面倒なので、まぁ、さすがにこれは無いと思いますがw)。レイテンシーやスマホ画面の大きさによる体験の違い、そもそもスマホ持ってない人はどうするの!?と、課題も多く妄想の域を出ませんが、「バトルフィールド4」「1」はスマホ、タブレットに常時全体マップを表示できるので、無くはないかなぁ、と。
「ハイスペック・高度なゲームが遊べるゲーム機」という分野ではPS4とかXboxOneがシェアで先行しているし、成熟していて、今以上に市場を拡大するのはちょっと厳しそう。同等性能にしてサードのマルチが等しく発売されても任天堂のアドバンテージは自社ソフトがあるぐらいです。
携帯ゲーム分野も、ひとり1台浸透しているスマホが強い。それらと戦うのではなく、今一番大きな市場のスマホゲーム領域におけるマウントを取る…他社がまだ手を付けてない…より面白くアンプリファイするためのプラットフォームを作ることで、共存共栄の道を選んだのではないか。もちろん、普通のゲーム機としての性能も備わってるから、ゼルダのような一人でじっくり遊べるゲームも作ることができる。(ただ、スマホ向けのスピンオフゲームとかいくらでも作れますよね。プレステとポケステ、ドリキャスとビジュアルメモリみたいな関係)
これは、テレビの存在しなかった125年前に創業した任天堂が、かつてテレビをメディアとして積極的に活用するようになったことと、構造的には同じです。スマートデバイスはいまや人々が、パーソナルに社会と繋がる窓に成長しているわけですから、活用しない手はありません。
パズドラもモンストも3DSにソフト出てますが、直接的にスマホとの連動は無いですよね。スイッチがスマホと連動できるならば、スマホ版パズドラの世界をスイッチで拡張したりもできるわけです。
ゲーム作る・運営する人からすればあっちもこっちもで大変にはなるのですが、既存のビジネスを拡張出来するアプローチってのはありませんでしたよね。むしろ、ニンテンドースイッチからスマホゲームに拡張するアプローチも出来るわけです。サードパーティもビジネスとして取り組むことでチャンスが広がることになるのではないでしょうか。
これまで、任天堂はゲーム人口の拡大を目的として、家族に嫌われないゲーム機、Wii、Wii Uを提案してきました。Wiiは家庭を中心に拡大させることができました。DSは人づて、口コミで拡大していきました。(3DS、Wii Uはゲーム人口の増加という意味では正直上手く行ったとは思えませんが、スプラトゥーンのような新しいIPを創出することができました。ソフトの互換がなくても、IPは継承できますからね)
そんなわけで、ニンテンドースイッチは、みんなの中心・コミュニティの中心となることで、人々を巻き込み、ゲーム人口を拡大させる、そんなハードなのではないかなぁ、というお話でした。
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